現在進行形でオーガニックやボタニカルといった製品は大人気中です。
世の中では自然界に元々あるものは、安全と見なされ、自然界に元々存在せず、人工的に生み出されたものは要注意と見なされる傾向があります。
オーガニックは作物・植物など栽培できるものに対して、ボタニカルは植物に対して使う言葉なので、オーガニックやボタニカルにこだわる製品は、言い換えると植物由来成分がメインで作られた製品ということになります。
植物由来成分や植物エキスをイメージとして肌にやさしいとか、安全であると考える人が多いですが、それは誤りです。
オーガニックベビーソープやオーガニックベビーシャンプー、ボタニカルベビーソープやボタニカルベビーシャンプーを選ぶ際にもオーガニックやボタニカルだから安全だとか、肌にやさしそうと考えるのは早計と言わざる得ません。
植物由来成分や植物エキスを否定するわけではありませんが、やさしい・安全というイメージに流されることなく注意点も知った上で選ぶ必要があります。
植物はパーフェクト成分ではない
自然界に存在し、種類次第では薬草や漢方に使われるほど多くの効能を持つこともある植物ですが、何の欠点もないパーフェクト成分ではありません。
アロエエキスなどは火傷に良いとされ、民間療法として使われてきましたし、ホホバオイルは赤ちゃんのベビーマッサージに用いられるくらい、お肌への負担が少ないだけでなく、保湿や肌荒れ予防などが期待できる成分です。
甘草から抽出される成分であるグリチルリチン酸は抗炎症効果などに優れ、多くの化粧品に配合され、また医薬部外品の有効成分としても用いられたりする成分です。
つまり、植物由来成分や植物エキス・植物オイルなどには確かに多くのメリットを持った成分が多いのは事実です。
ですが、自然界に存在しているから人にやさしいという説明は間違っています。
なんとなく、人と自然は共存してきたというイメージからそういった間違った解釈にミスリードされているのだと思いますが、自然界のものだから人にやさしいなんてありえません。
ちょっと考えればわかることですよね。
毒性の強い植物なんて自然界にたくさんあり、昔からそういった植物を食し命を落とした人だってたくさんいるわけです。そういった祖先達の経験によって毒がある植物と毒のない植物を判断することができるようになってきただけです。
漆(うるし)に触れれば肌がかぶれますし、肌にやさしいわけありませんね。
植物には良い効果をもたらしてくれるものもあれば、小麦のようなアレルギーを起こす原因となる植物もあります。
つまり、化粧品に使われるくらいなので、植物由来成分や植物エキス、植物オイルそのものが漆のようにかぶれを引き起こすようなものは使われませんし、肌への負担などを考慮して選ばれていますが、それでも小麦アレルギーの人にとっては加水分解コムギはアレルゲンとなりうるように、アレルギーには気を付けなければなりません。
肌へのやさしさやアレルギー対策を優先するなら肌に存在する成分を!
若干主観でお伝えしますと、自然界に存在している植物よりも、人のお肌にも存在している成分の方がお肌にやさしそうでアレルギーも起こりにくそうに思いませんか?
植物といっても米や小麦のように食料としているような植物もあれば、観賞用としてしか触れることのない植物など様々です。
例えば、アサガオって食べませんよね?(食べる国や地域はあるかもしれませんが)
アサガオよりも、人の肌に存在していて肌のタンパク質を構成しているアミノ酸の方がお肌に優しそうではありませんか?
ただ、ここでも勘違いして頂きたくないのは人の肌に存在している成分であっても100%安全というわけではないということです。
成分によってはマウスやラット、ウサギによる実験などで毒性などが研究されたりしていますが、人の肌に存在し、潤い保持に優れるとされる有名な保湿成分である「ヒアルロン酸Na」のラットによる腹腔内投与実験では死亡例もあります。
多くの人はニュースなどで、◯◯という成分のマウス実験の結果発ガン性が見られたという記事を目にすれば「危険だ!」と騒ぎ立てるかと思いますが、ヒアルロン酸Naのラットによる実験では死亡という発ガンどころではない結果が出ているわけです。
ですが、安全だの危険だのは成分名と実験対象だけでは判断できないのです。
実際化粧品に含まれるヒアルロン酸による死亡事故とか聞いたことありませんよね。
それは、なぜか?
めちゃくちゃ単純で安全性を語る上で絶対に外せないポイントがあります。
『量』
です。
「全ての物質は毒であり、薬と毒を区別するものはその量のみである」
という名言がありますが、これが全てです。
あまりにも少量で死に至るようなものが毒物や劇物扱いされているのであり、毒物や劇物でないものが必ずしも安全であるわけではないのです。
なので、化粧品に含まれるヒアルロン酸程度の量で死亡事故が起こることは考えられません。
ヒアルロン酸100%の原液をバケツ一杯一気飲みすれば危険かもしれませんね。
ですが、そうなると、醤油を1本丸々一気飲みすれば死ぬと言われているのと同じくらい意味のない想定ですよね。
水も短時間でありえないほど大量に飲めば死に至りますから、量を無視すれば安全なものなんてありません。
安全の範囲内で使用するから安全なだけです。
マウスやラットなどによる実験の結果だけをニュースとして流すメディアもむやみに不安を煽る原因ですが、こういう実験結果を人に当てはめる際には、実験の内容をしっかり把握する必要があります。
「使用量・使用期間・経口なのか塗るだけなのか等使用方法・対象(マウスやラット)」
を確認もせず結果だけで危険だ危険だ!使っているメーカーは悪者だ!みたいに騒ぐのはみっともないのでやめましょう。これは化粧品だけでなく食品業界にも言えることです。
実験内容によっては人に当てはめるとまず日常生活ではありえない量をありえない方法でありえない期間使っていることになったりしますので。
また、マウスやラットと人間はやはり違います。
マウスでは発がん性が見られてもラットでは見られないなんてこともザラにあるわけです。
マウスやラットで見られた結果をそのまま人間にも当てはまると決めつけるのはおかしいわけです。
成分は国が定める安全の範囲内での使用しかできない
化粧品の場合、成分によっては配合量・配合率が定められている成分があり、その上限未満の使用であれば安全であるとみなされているわけです。
なので、化粧品に使われている成分は基本安全といえるわけです。
では当サイトのような成分解析なんて意味ないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、安全の範囲内だからといってお肌への刺激が全ての成分で同じなわけではありません。
植物だからやさしいなどではなく、1つ1つの成分の毒性や刺激についての確認が大切なのです。
安全の範囲内であっても化粧品によってヒリヒリする製品があったり、大丈夫だったりするのは、配合されている成分一つ一つの刺激などによって変わるからです。
低刺激な成分ばかりで作られた化粧品と、安全の範囲内だけど刺激でいうとちょっと強めな成分ばかりで作られた化粧品では化粧品としての皮膚刺激が違って当たり前ですよね。
また、刺激とアレルギーも分けて考える必要があります。
低刺激な成分でもアレルギーが起こりやすい起こりにくいはあるわけです。
そういった成分ごとの特徴の違いというのは一つ一つ地道に勉強していくほかありません。
少なくとも、植物だから肌に優しいとか安全であるといったことは「ない」ということだけは知っておいて欲しいと思います。